人の性格は遺伝するか、性格に影響するのは遺伝か環境か

性格と関連する脳の画像

人として生まれ生きていくために、遺伝子は大切な働きをしています。
私たちは自分の遺伝子を両親から半分ずつ受け継ぎ、それを取り除いたり付け加えたりすることは普通できません。
その組み合わせは、一卵性の双生児を除いて、兄弟間でも違っています。
また、遺伝子の組み合わせの数は、地球上で生きている人間の数よりもはるかに多く、私たちは生まれた時からこの世で唯一の個性を持っているのです。

人は成長の過程で、親子関係、友人、社会など多くの影響を受けて育ちます。
進化論を唱えたダーウィンのいとこであるゴールトンは、優れた才能を持つ人を多く出す家系があることに注目し、人の才能が遺伝によって受け継がれることを主張しました。
また、行動主義者ワトソンは、人は訓練によって何でも望むものになることができると環境要因を強調しました。
性格は「遺伝か環境か」という議論は古くからなされてきましたが、今日、両者は不可欠で切り離して考えることはできないという見解が示されています。

遺伝と環境が人へ及ぼす影響を研究する方法に双生児法があります。
遺伝的に同じ遺伝子を持つ一卵性双生児と遺伝的には普通の兄弟と同じである二卵性双生児を比較する方法です。
一卵性双生児は二卵性双生児に比べると外見や身長、体重だけでなく、せっかち、のんびり、外向性、感受性、神経症的傾向などの心理的特長も良く似ていることが報告され、私たちの性格も遺伝の影響を受けていることが分かります。

また、一卵性双生児だけに限ると、性格は別々の環境で育つより、同じ環境で育った場合に明らかな違いが見られることが報告されています。
なぜ、お互いに接点のない別々にクラス二人の性格が似ていて、同一環境で育った二人に違いがあらわれてくるのでしょうか。
別々に暮らす双子は、自分の素質を素直に開花させるため性格が似てきて、同じ環境に育った双子は、外見で区別がつきにくい分、親や周囲からの扱いの差や自分の独自性を主張したい心理によって性格の違いが大きくなるのではないかと考えられています。
性格は、遺伝的素質を受け継ぎながらもただ受動的に形成されるのではなく、環境からの刺激や意志によって能動的に形成していく部分も大きいのです。


性格を変えることはできるのか

ユングは、自分がまだ気がついていない自分に気づき、それをまとめあげながら人生全体に渡って自分の全体像を作りあげていくのを個性化の過程と呼びました。
エリクソンは、人生をライフサイクルという8つの発達段階に分け、それぞれの段階で取り組むべき課題を示しました。
このように、人は生涯にわたって変化していく可能性を持っています。

しかし、人はどのような性格でも、長年身につけてきた性格に対する愛着からその安定性を保とうとする力が働き、変化に抵抗する傾向もあります。
たとえ悩んでいても、自分なりにいつもの方法で解決できているときには、それ以上自分のことを考えないで過ごしてしまうことが多いものです。

そのような中で、何か特別な出来事がきっかけとなって性格が大きく変わる場合があります。
多くの場合、自分の人生観や価値観が揺さぶられるような危機的な状況に直面した場合に起こります。
危機とは、これまで自分がもっていた解決方法を使い切った状態です。
新しい対処方法を見出したいと望んでいるので、自分を変えるよい機会ともいえます。

「性格を変えたい」という人は多くいます。
そんなとき、カウンセラーは「どのように変えたいのか、少し一緒に考えてみませんか?」などと答えることが少なくありません。
「変えたい」とあせる気持ちを尊重しつつ、今までどうして来たのか、これからどのようにしたいのかを、少しずつ一緒に考えて行こうと提案します。
なぜならば、「自分を知ること」が変化への入り口の一つだと考えているからです。


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