高齢者が転倒しやすい原因と予防にかかわる身体機能とは

高齢者の画像

加齢に伴って身体機能が変化することは誰もが知っています。
たとえば、「背が曲がり上体をやや前屈した状態で膝関節を曲げ気味に歩いている人をイメージしてください」と言われた場合、多くの方は高齢者の歩く姿を想像するのではないでしょうか。
高齢者の歩行の特徴には、歩幅が狭くなる、すり足になるなどがあります。
これらの背景には、筋力の低下、椎骨や椎間板の変性、バランス筋力の低下など、加齢に伴う身体機能の低下が関与しています。
筋力やバランス能力の低下は、高齢期の大きな問題の1つである転倒の原因ともなってきます。
高齢者に日常的によくみられる転倒は打撲や骨折を伴うことも少なくありません。
転倒経験者は再転倒しやすいといわれており、転倒を恐れるあまり外出を控えるなど日常生活が不活発になり、日常生活動作能力の低下や生活の質の低下にもつながってしまいます。
したがって、骨折の直接的原因となる転倒を防止していくことは、高齢期の生活の質を向上させる上で最も重要な課題の1つといえます。


転倒にかかわる身体機能

転倒の原因の1つに加齢に伴う筋力の低下があります。
筋量の低下は30歳頃から始まり、歳をとるにつれて特に下肢での減少が顕著になってきます。
下肢の筋量低下は、歩行など日常生活における基本動作の低下を引き起こし、場合によっては寝たきりにつながる可能性も少なくありません。
このような筋力の低下は、加齢に伴う関節の可動域やバランス能力などの低下とあいまって、転倒の危険因子となっています。

身体機能以外で転倒にかかわる要因

たとえば「薄暗い階段を下りていたとき、もう一段残っていたことい気がつかず、段差を踏み外して転倒してしまった」場合、その原因として身体機能以外にも奥行き知覚やコントラスト感度、暗所視の低下といった視覚機能や注意機能に生じる加齢変化が考えられます。

スパローらは、歩行課題と同時に、視覚課題、聴覚課題、両課題をともに行う視聴覚課題を実験参加者に課し、それぞれの課題を単独で行った場合の課題成績と比較しました。
注目すべきは、高齢者では視聴覚課題を実施しながら歩行課題を行うと、長期間にわたる訓練を通して自動処理レベルにまで到達していると考えられている歩行そのものにも影響が生じることを示した結果です。
彼らの知見は、考え事をしながら歩いていると高齢者では転倒の危険性が増す可能性を示唆しており、高齢者の日常生活における安全対策を考える上でも非常に重要な知見といえます。


高齢者が転倒予防のために鍛える必要のある機能

・筋力
筋力は、握力や膝伸展力などによって評価されます。
筋力は加齢に伴って低下しますが、筋力トレーニングなどにより、歳をとっても維持、回復が期待できます。

・バランス能力
立位姿勢や歩行などにおいて重要な役割を担っているバランス能力は、重心動振や片足立ちによって評価されます。
特に閉眼時のバランス能力は加齢に伴って顕著に低下します。

・持久力
持久力は、筋肉を動かすためのエネルギーを供給する能力をさし、最大酸素消費量によって評価されます。
身体活動を行う上で不可欠な要素である持久力は、加齢に伴って低下しますが、有酸素運動などにより歳をとっても維持・向上ができます。

・柔軟性
柔軟性は、関節に動く範囲をもって評価されます。
柔軟性は加齢に伴って低下します。
関節が硬くなり可動域が狭くなると、筋力の低下とあいまって円滑な
身のこなしが難しくなります。
全身ストレッチ運動などにより、歳をとっても維持・向上が期待できます。


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